顔のない眼 Les Yeux sans visage
監督:ジョルジュ・フランジュ 1960年 仏伊共同製作
森の奥に住むクリスティーヌは、交通事故に遭い、顔に大火傷を負ってしまった。普段は顔にマスクをつけて生活をしている。医者であるクリスティーヌの父親は娘と同じくらいの年齢の女の子を誘拐しては、顔面の皮膚を剥ぎ取り、娘に移植手術を行うのであった。
この映画を見て、楳図かずお先生の『洗礼』を思い出した。母親が自分の娘の脳に自分の脳を移植するというお話。この顔のない目の話はフランケンシュタイン博士の人造人間の話にもつながると思うけど、人間のエゴがどこまで許されるかみたいな、しかし、結局は切ない悲しいお話です。
最後はクリスティーヌは森の中を一人歩いていくシーンで終わりなのですが、そこでやっと気持ちが解放されたというかほっとするような気分になって終わった。娘のことを思う父の気持ちもわからんではないけど、そのために亡くなる人のことを思うと、どうしようもない切ない気持ちになるし、当の娘の気持ちも考えたら余計に辛くなるんやけど、こういう気持ちになることも想像できる映画だよなあと思う。
邦題の「顔のない眼」という響きがすごく好きです。ちなみに、クリスティーヌ演じるエディット・スコブは「ホーリー・モーターズ」の運転手役で、この顔のない眼のオマージュとして最後仮面をかぶるシーンがあるんやけど、そこは嬉しい気持ちになった。